トロンボーン アンサンブル(ジャズ系)
Vol.1

21 TROMBONES Featuring Urbie Green
1984,PROJECT 3 RECORDS(PR-5024) *LP SIDE-A:(1)It Had To Be You (2)Timbre (3)Mood Indigo (4)Sunny (5)Just Dropped /SIDE-B:(1)Blue Flame (2)The Party (3)Perdido (4)The Green Bee (5)I Gotta Right To Sing The Blues (6)How Come You Do Me Like You Do
<M>Urbie Green,J.J.Johnson,Kai Windin
g,Will Bradley,Harry Di Vito,Eddie Bert,
Jimmy Cleveland,Mervin Gold,Jack Rains
,Chauncey Wlsch,Micky Gravine,Johnny Mesner,Jr,Lou McGarity,Phil Giardina,
Charlie Small,Barry Maur,Bill Elton,
Sonny Russo,Tommy Mitchel,Tony Studd
,Alan Raph,Dick Hixon,PaulFaulise,Buddy
Morrow,Wayne Andre(tb)他
このアルバム(LP)の正式タイトルは「URBIE GREEN AND TWENTY OF THE WOLD'S GREATEST/21 TROMBONES」。アービー・グリーンのソロフィーチャーに20人のトロンボーンセクション+リズムセクションという超豪華な編成。バックのトロンボーンセクションにはJ.J.ジョンソン、K.ウィンディングも参加しています。サウンドはベンチャーズ風テケテケエレキサウンド(この表現が一番分かりやすい)に21本のトロンボーンが乗っかっている感じですが、今聴くと古臭さよりもむしろ逆にとってもオシャレなカフェミュージックとして聴けます(ちなみにこのLPは1984年リリース)。21本のトロンボーンによるそのアンサンブルはまさにビッグバンドのようなゴージャスなサウンドです。SIDE-B:(4)はあの「熊ん蜂の飛行」をゴーゴーディスコサウンドにした感じのアレンジ。思わずニヤッとしてしまいます。このアルバムではフィーチャリングソリストのアービー・グリーンもスーパーハイノートをヒットしまくり、実に楽しそうにプレイしています。

TROMBONE SCENE
RCA RECORDS(74321611102) (1)SLIM JIM (2)IT COULD HAPPEN TO YOU (3)SORTA RUMBISH (4)HACKIN' AROUND (5)INDIANA (6)PLUNGIN' IN (7)HAMBONE (8)OUT OF NOWHERE (9)SONNY'S SIDE (10)UP AND OUT
<Musicians>
Jimmy Cleveland,Urbie Green,Frank Rehak,Eddie Bert,Sonny Russo,Willie Dennis,Jimmy Knepper(tb),Tommy Mitchel(b-tb),Buddy Jones(b),Sol Gubin(Ds),Elliot Lawrence(pf,arr,cond)
上の21 Trombonesとメンバー的に似ていますが、こちらは1956年の録音。8人のトロンボーン奏者が参加していますが、編成は5トロンボーンで曲によってメンバーが変わっています。それぞれソロフィーチャーされていて、特に(1)SLIM JIMでのジミー・クリーブランドの軽快なソロが素晴らしいです。J.クリーブランドはどちらかというとスタジオミュージシャン系なので、一般的な知名度は低いのですが、リーダーアルバムも何枚か出していてかなりの名手です。あと(2)IT COULD HAPPEN TO YOUではアービー・グリーンお得意のスウィートなバラードプレイが光ってます。'50年代のモダン・トロンボーン奏者といえば、J.J.ジョンソンって感じですが、J.J.以外にもモダンなスタイルと確かなテクニックを持ったトロンボーン奏者がこんなに沢山いたんだなぁ、と改めて認識させられます。これはまさに隠れた名盤。最近CD化されたようで、入手しやすいです。

THE BRASS CONNECTION
1980,Palo Alto Records(PA-8082) *LP SIDE-A:(1)TANGA (2)LEE (3)GIANT STEPS (4)LIGHTLY TURNING
SIDE-B:(1)DEAR OLD STOCKHOLM (2)OSTEOLOGY (3)QUIET DAYS (4)A SHADE OF JADE
<Musicians>
Doug Hamilton
,Ian McDougall,Jerry Johnson,Bob Livingston(tb),John Capon
(b-tb),Lorne Lofsky(gt),Frank Flco(pf),
Dave Young(b),Terry Clark(ds),Don Thompson(vib)
'80年代にカナダで活動していた5トロンボーングループ「ザ・ブラス・コネクション」の1stアルバムです。発売当時は1部のトロンボーン奏者の間ではかなり話題になりました。最近ではこのような5(4)トロンボーングループが本当に沢山活動していますが、音楽性、テクニック、アンサンブルの完成度等どれをとってもこのグループは群を抜いて素晴らしいと思います。実際このアルバムは'81年にカナダ最大の音楽賞Juno Awardsのベストジャズアルバム賞を受賞しています。この5人のトロンボーン奏者はいずれもカナダのトップスタジオミュージシャンですが、特にリードを吹いているイアン・マクドュガル(ロブ・マッコーネル&ボス・ブラスのリード・トロンボーン奏者でもある)の華麗なプレイは本当に素晴らしいです。僕もこの人のフレージングには相当影響を受けました。全体のサウンドはいわゆるアメリカ的なサウンドとは少し傾向が違い、どちらかというと北欧ジャズのサウンドに近い感じで、独特の哀愁感というかしっとりした雰囲気が出ています。ギターとヴィブラフォーンが特にこのサウンドの要になってますね。圧巻はSIDE-A:(3)のGIANT STEPSで、あのコルトレーンのアドリブをハーモナイズしてトロンボーン5人で吹いちゃってます。どの曲もアレンジが技術的にとっても難しいのですが(アレンジもメンバー自身で行っている)、さらりと難無く吹きこなしているので、テクニック的な部分だけに耳が行ってしまう事なく、実に音楽的に昇華されたアルバムです。

A NEW LOOK / THE BRASS CONNECTION
1983,Innovation Records(JC-0005G) *LP SIDE-A:(1)ALL THE THINGS YOU ARE (2)SOMDAY MY PRINCE WILL COME (3)MY FUNNY VALENTINE (4)I LOVE YOU
SIDE-B:(1)MOOD INDIGO (2)MY SHINING HOUR (3)MY FOOLISH HEART (4)NIGHT AND DAY
<Musicians>
Doug Hamilton
,Ian McDougall,Jerry Johnson,Bob Livingston(tb),John Capon(b-tb),Lorne Lofsky(gt),Bruce Harvey(pf),Dave Young(b),Jerry Fuller Jr,Brian Leonard(ds),Don Thompson(vib,pf)
上の「ザ・ブラス・コネクション」の2ndアルバムです。この2枚目では選曲をポピュラーなスタンダードナンバーにして、1枚目よりも聴きやすくポップな感じになっています。前作では全曲メンバー自身によるアレンジでしたが、2枚目では8曲中6曲のアレンジをビル・ホルマンやマーク・タイラー(2人ともビッグバンドのアレンジャーとして有名)などの外部アレンジャーが書いています。このコンセプトはリーダーのダグ・ハミルトンの考えによるもののようで、この2人のアレンジャーによるサウンドはとてもキャッチーで往年のビッグバンドサウンドを彷佛させるようなフレーズが沢山ちりばめられています。このアルバムに収録されている曲は全曲楽譜が出版されているようです。僕も4曲レパートリーとして持っていますが、お薦めはAll The Things You are,Mood Indigo,Night And Dayの3曲です。この3曲は演奏していてとても楽しいアレンジです。

WORLD OF TROMBONES / SLIDE HAMPTON
BLACK LION(BLP60113) *LP SIDE-A:(1)CHORALE (2)LESTER LEAPS IN (3)'ROUND MIDNIGHT (4)DONNA LEE
SIDE-B:(1)CON ALMA (2)LAMENT (3)IMPRESSIONS
<Musicians>
Slide Hampton(tb,arr,leader),Clifford Adams Jr,Clarence Banks,Curtis Fuller,Earl McInTyre,Douglas Purviance,Janice Robinson,Steve Turre,Papo Vasquez(tb),Albert Dailey(p),Ray Drummond(b),Leroy Williams(ds)
このアルバムはトロンボーン奏者の間ではけっこう有名なアルバムですね。1979年録音。全曲スライド・ハンプトンのアレンジによる9本のトロンボーンアンサンブルです。SIDE-A:(3)'ROUND MIDNIGHTのアレンジは特に有名で、いろいろなトロンボーングループが演奏してます。ベーストロンボーンが非常においしいアレンジです。リハーモナイズされ原曲よりも更にハーモニーの空間的な広がりが出てます。S.ハンプトンのこのハーモニーセンスは本当に素晴らしいですね。このS.ハンプトンのハーモニーセンスはアドリブにも生かされていて、本当に「にくい音(この表現でわかりますか?)」を随所に使ってます。SIDE-B:(2)LAMENTのアレンジ&ソロも素晴らしいです。オリジナルのJ.J.ジョンソンよりも曲の世界観がぐっと広がってますねぇ。

SPIRITE OF THE HORNS / SLIDE HAMPTON AND THE WORLD OF TROMBONES with special guest BILL WATROUS
Manchester Craftsmen's Guild(MCGJ1011) (1)Cherokee (2)All In Love Is Fair (3)A Flower Is A Lovesome Thing (4)TRIBUTE SUTE<Lament/Basin Street Blues> (5)April In Paris (6)Lester Leaps In (7)Moment's Notice (8)Dolphin Dance (9)Walkin' -N- Rhythm (10)Maya (11)Blues For Eric
<Musicians>
Slide Hampton(tb,arr,leader),Bill Watrous(guest tb),Jay Ashby(tb,produce),Micheal Boschen,Steve Davis,Hugh Fraser,David Gibson,Andre Hayward,Benny Powell,Isaac Smith(tb),Tim Newman,Douglas Purviance,Max Seigel,David Taylor(b-tb),Marty Ashby(gt,Banjo),Victor Jones(ds),John Lee(b),Larry Willis(pf)
上の「WORLD OF TROMBONES」の2枚目ですが、1枚目から23年経った2002年の録音で、ペンシルバニア州ピッツバーグでの3日間に渡るライブ録音です。こちらも全曲スライド・ハンプトンのアレンジの12本のトロンボーンアンサンブルで、全体的にトロンボーン12本のハーモニーを十分に生かしたアレンジで1枚目よりもソフトでスムースな演奏です。特にスティーヴィー・ワンダーの(2)All In Love Is Fairのアレンジは良いですねぇ。スペシャルゲストとしてビル・ワトラスが参加していて、(1)CherokeeでS.ハンプトンとB.ワトラスがバトルソロをやっていますが、お互いに影響し合ってか音色やプレイスタイルがなんとなく似てきているのが興味深いところ。B.ワトラスのプレイもここ数年の録音の内で一番冴えているようです。S.ハンプトンはベーストロンボーン並みのもの凄く大きな楽器(ドイツのメーカーらしい。MPも1-1/2位の大きさ)を使っているのですが、ダブルBbのハイノートを「ヒョー!」という感じで見事に吹いてます。S.ハンプトンはもうかなりの高齢だと思うのですが、全く衰える事なくますますプレイが冴えてきているのは本当に凄いですねぇ。聞くところによると、今でも毎日何時間もの練習と勉強を欠かさないとか。この音楽に対する真摯な姿勢は見習いところです。

a matter of time / New York Trombone Conspiracy
1997,Conspiracy Records(CR 101 CD) (1)A Matter of Time (2)Final Stages (3)The Pastures of Heaven (4)Lofty (5)Celler By Flashlight (6)My Ship (7)Giant Steps (8)Worth the Wait (9)I Mean You
<Musicians>
Bruce Eidem(tb,a-tb),Pete McGuinness,Steve Armour(tb),Jeff Nelson(b-tb),Joel Weiskopf(pf),Tony Scherr(b),Scott Neumann(ds)
このグループはニューヨークで活動中の4トロンボーングループです。一般的には無名のミュージシャンばかりなのですが、みんな恐ろしい程上手く(特にベーストロンボーンのジェフ・ネルソンは凄い!)全体のサウンドも本当に素晴らしいアルバムです。改めてニューヨークのミュージシャンのレベルの高さを認識させられます。同じくニューヨークで活動中の4トロンボーングループではジム・ピュー達のスーパー・トロンボーン(実は日本人プロデューサーの企画もの)が特に日本では有名でCDのセールスもかなりヒット(成功)していますが、僕個人的にはこのNew York Trombone Conspiracyの方を強く推薦いたします。確かに音楽的にはスーパー・トロンボーンのようにキャッチーないわゆる一般受けする内容ではないのですが、このアルバムの10曲中8曲はメンバーのオリジナルで(残り2曲もオリジナル・アレンジ)、ストレートアヘッドなジャズに真っ向から取り組んでいるとても意欲的なグループです。是非2枚目、3枚目のリリースを期待したいところです。マイナーレーベルからのリリースですが、入手はしやすいです。

THE RETURN OF THE HORN PLAYERS / Ingo Luis & Ludwig Nuss The Two-Bone-Big-Band
MONS RECORDS(MR 874-314) (1)Seven Come Eleven (2)What Now? (3)Never Mind (4)Sul's Song (5)Darn That Dream (6)Waltz For Debbie (7)Round Midnght (8)Swingmania<Medley〜Take The 'A' Train-Chicago-Summertime-Four Brothers-Sweet Geogia Brown-All Of Me-I Left My Heart San Francisco-I Got Rhythm> (9)Despite All Spirits (10)One Note Samba (11)Cool David
<Musicians>
Ludwig NuB(tb),Ingo Luis(b-tb),Hubert NuB(pf),John Goldsby(b),Mike Smith,
Danny Schroteler(ds)

このグループはLudwig NuBとIngo Luisの2人のドイツ人トロンボーン奏者のユニットで、このアルバムでは2人の多重録音による大編成アンサンブルサウンドになっています。どれ位オーバーダビングしているのかはわかりませんが、聴いた感じ曲によっては8本以上ダビングしているようです。ほとんどの曲は自分達のオリジナル曲またはオリジナルアレンジです。(7)Round MidnghtではベーストロンボーンのIngo Luis1人の演奏(ダビング無し)ですが、ペダルEbからハイFまで4オクターブ以上の音域を見事に吹ききっています。ベーストロンボーン奏者なら必聴もの(!!)です。(11)Cool Davidはあの超有名なダヴィッドのコンチェルトのパロディーです。もし作曲者のダヴィッドさんがこれを聴いたら、なんて思うんだろうかと心配してしまう位好き放題やっちゃってます。とは言ってもタイトルの「Cool」どおり、あえてチープな打ち込みのレゲエサウンドにラップを乗せ、クールなヒップホップに料理しているあたりのセンスはなかなかのもの。このCDはユニット名にBig-Bandと付いているせいか、僕が買ったCDショップではトロンボーンコーナーではなくビッグバンドコーナーに置いてありました。


sliding affairs / TromboneFire
2001,LAIKA-RECORDS(3510146.2) (1)Fuller & Fuller (2)Caravan (3)The Blessing Of A Beatiful Bride (4)No Rules Allowed (5)On The Edge (6)1.2.79 (7)The Bus Blues (8)Once Or Twice (9)Big Alice
<Musicians>
Johannes Herrlich,Adrian Mears,
Hermann Breuer(tb),Eberhard Budziart(b-tb),Walter Lang(pf),Thomas Stabenow(b),Matthias Gmelin(ds)
ここ数年、日本にもヨーロッパのジャズシーンの情報が本当によく入ってくるようになってCDの入荷も多く、特にドイツのジャズミュージシャンのレベルは非常に高いなぁと感じます。何百年ものクラシック音楽の伝統のある国ですから、音楽レベルが高いのは当然と言えますが(余談ですが、テクノと言えばドイツですねぇ)。
このTromboneFireもドイツで活動中の4トロンボーングループですが、やはり4人ともとても高度なテクニックを持ち合わせていますね。メンバー自身によるオリジナル曲&オリジナルアレンジですが、特に(2)Caravanのアレンジは秀逸。全体的なサウンドとしては、硬派なジャズを本当に真面目に取り組んでいる感じです。面白いものでお国柄というか国民性みたいなものがサウンドに表れていて、質実剛健な印象。まさにドイツサウンドです。4人のトロンボーンの音色も少し固めで、タンギングもかなりはっきり目のアタックです。この辺は言語が大いに関係しているのではないかと思います。ニューヨークのミュージシャンはやはりあの早い流暢な英語の発音と同じようにとても滑らかなタンギングですからねぇ。アメリカンなジャズサウンドに飽きてしまった人にはお薦めです。

Iveragh Moods / Hans Kamper SLIDE MOVEMENTS ORCHESTRA
2003,LAIKA-RECORDS(3510177.2) (1)Variation G-one (2)La Vaisse (3)November Suite (4)Iveragh Moods<Iveragh〜Sparking Water〜My Sweet Darlin' Man> (5)Slide Movements
<Musicians>
Hans Kamper(tb,leader),Wolfram Blum,Andreas Roth(tb,a-tb),Hans Wendt,Sebastian Hoffmann,Sven Zullchner(tb),Andreas Meyer-Kruger(b-tb),Jorg Schmidt-Hohense(b-tb,tuba),Tobias Neumann(pf),Markus Gnadt(b),Oliver Spanuth(ds,perc)
このグループも上のTromboneFireと同じくドイツのグループで、こちらは8トロンボーンです。レーベルは同じくLAIKAです。リーダーのHans Kamper以外はみんな若手のミュージシャンのようです。全曲Hans Kamperのオリジナルで、ファンク系ビートあり、4ビートあり、7/8拍子あり、4トロンボーンのアカペラの現代曲ありと実にバラエティーに富んでます。サウンドのイメージを言葉で表現するとすれば「男気なアンサンブル」って感じでしょうか。とにかく硬派な音楽ですねぇ。
上のTromboneFireも硬派でしたが、このグループは更に輪をかけた硬派です。やはりトロンボーンの音色は固めです。ドイツではこのような硬派なジャズの方が受けるのでしょかねぇ(それともこのLAIKAのレーベル色かもしれませんが)。「とにかくオレは硬派なジャズが好きなんだぁ〜!」という人にお薦めです。